息を吸い続けようと躍起になる人

世の中は、バランスです。

 

 

男と女。陰と陽。光と影。長所と短所。そして、生と死。

 

 

世の中にはいつも相反する二つのものが存在し、一時的に両者の天秤が揺れ動きながらも均衡を保って、単純な二項背反を超えた大いなる一つとして成立しています。

 

 

 

――この世には相反する二つのものが同じだけ存在し、ワンネスとして調和している。

 

 

 

これはごくごく当たり前の原理原則ですが、いざ「損得」という概念になると、このシンプルな原理がたちまちわからなくなってしまう人が多くいます。

 

 

「絶対に損をしたくない」「できる限り得をしたい」「どのような状況でも常に何かしらの利益を得ていたい」。

 

 

こういった邪な思いを抱く人は、長期的にも短期的にもすべからく「得」から敬遠されています。

 

 

なぜでしょうか?

 

答えはとても簡単で、例えば呼吸にたとえることができます。

 

 

 

人間誰しも(というか、すべての生き物は)、息を吸い続けることはできません。

 

 

 

息を吸ったら必ず、吐く。吸って、吐く。そしてまた吸う。この繰り返しです。

 

 

 

一時「酸素カプセル」がスポーツ選手やセレブの間で流行りましたが、いくら酸素が私たち人間の心身の機能に素晴らしい効果をもたらすからといって、酸素を吸い続けるばかりで吐くことがなければ、生き物はみな死んでしまいます。

 

 

 

酸素を吸い続けて、吸い続けて、吸い続けて、口をタコのようにとがらせ、顔も真っ赤で限界。それでもなお、酸素を吸おう、吸おうと躍起になっている。

 

 

しかし、もちろん酸素は入りません。

 

 

限界まで吸い切った空気を吐き出して初めて、新たにフレッシュな酸素を胸いっぱい吸うことができます。

 

 

どうでしょうか。

酸素を吸い続けようと顔を真っ赤にしている人を、あなたは果たして嘲笑(わら)えるでしょうか。

 

 

損得関係で常に得したいと考える人は、酸素を吐くことなく吸い続けていたいと考える人と同じくらい愚かな人です。

 

 

常に物事や人間関係を損得で捉える人に、本当の得・本当の利益は入ってきません。

 

 

そもそも、「自分が得」=「相手が損」という単純な二項対立の「奪う・奪われる」の関係性から、一抜けすることが大切です。

 

 

他者を値踏みする人は、他者からも値踏みされますよ。

 

 

 

「略奪と犠牲」「支配と被支配」の不健全なループから、自身を解放しましょう。

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